その頃、国を治めていた鎌倉幕府の将軍 頼朝は、この話を伝え
聞いて大変に心配しました。幕府は強くて勇気のあるお侍はいないかと、さがすことになりました。その話を聞いた信濃の国小県郡のお殿様は、早速家来の 根津甚平を呼び出しました。
「どうじゃ、甚平。お前も化鳥の話を聞いておろう。この頃、桔梗ヶ原
では 化鳥が一段と暴れて 村人も里を通る旅人もほんとうに困って
いるようじゃ。なんとかお前の力で退治して、村人達を助けてやって
くれんかのう」
お殿様の話を聞いた甚平は
「かしこまりました。この甚平の命にかえても退治してまいります」
と、お殿様に答え、約束を致しました。信濃一番の強い侍といわれる
甚平にひきうけてもらい、お殿様はホッとしました。
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